ふと見だしたら勉強になったので、メモを取りました。
第1回・概論
WHOの考え方は「健康とは身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態にあること」
DALY(disability-adjusted life year)
- YLL(病気によって奪われた寿命)+YLD(病気によって損なわれた健康の時間換算)
- DALY値の大きい疾患トップ5は脳血管疾患、うつ病・躁うつ病、認知症、虚血性心疾患、自殺、と精神疾患が多く、疾患群別合計19%でがんを抜いて一位。 (Disease & Injury Country Estimates 2004, 2009, WHO)
メンタルヘルスを支える要因
- 身体的健康 運動、栄養、休養・睡眠
- ストレス対処能力
- 健康なパーソナリティ
- 人と人との絆
精神疾患の治療法
第2回・周産期
周産期のメンタルヘルス
- マタニティブルーズ 出産直後に涙もろくなる、不安や焦りが強くなる、など。2週間程度で治る。
- 産後うつ病 分娩後2、3週間~6か月。普通のうつ病と同じで、気分の落ち込み、興味・意欲の低下など。大体10~20%の人に起きる。
産後うつの原因
- サポートの欠如
- アタッチメントの不足
- ストレッサー(妊娠・出産)
- 子供の発達リスクや気質(育てにくい)
- 育児サポートの欠如、育児への対処の機能不全
- 母子相互作用の障害
産後うつの療法
アタッチメントとアタッチメントの障害
アタッチメントとは恐怖や不安を感じた時に養育者に取り除いてほしいと訴え、養育者を安全基地とすること。
乳幼児期の母性的養育のはく奪はその後の発達に大きく影響する。
アタッチメントのタイプ
Bが一番安定しているが一番問題なのはD。母親と別れる、再開する、といったときに特徴が強く出る。
- A.回避型 養育者と分離をする際に泣いたり混乱することはないが、再会時に目をそらしたり避けようとする。養育者を安全基地だと考えられていないタイプで母親と関わりなく行動することが相対的に多い。養育者が子供の働きかけに拒否的にふるまったり、微笑んだり身体接触が少ない場合に起きる。
- B.安定型 養育者との分離で多少泣いたり混乱し、再会時は身体的接触を求め、容易に静穏化する。養育者が子供の欲求に相対的に敏感で、過剰・無理な働きかけが少ない場合。
- C.アンビバレント型 分離時に非常に強い不安や混乱、再会時は身体接触を求めるが容易に泣き止むことができず怒りを見せて叩いたりする。養育者に対するアタッチメントのサインを過剰に出し、全般的に用心深い。養育者は子供からのシグナルに敏感だが、気分に合わせて子供と関わっている。
- D.無秩序・無方向型 近接と回避の行動が同時的あるいは継続的にみられる(例:母親に近づくが目は合わせないなど)。子供を怯えさせるような行動を示すことが相対的に多く、時に不適切な養育をする。
アタッチメントの障害を減らすためには
母親へのソーシャルサポートが必要。特に道具的サポートが大事とされている。
- 情緒的サポート 相手の情緒に共感したり励ましたりする
- 情報的サポート 相手のストレス対処のために有益な情報を提供
- 道具的サポート 具体的に何かものを与えたり手伝いをしたりする
- 評価的サポート 相手の行動や意見を肯定的に評価して認めてあげる
- コンパニオンシップ 相手を孤立させずに仲間に入れてあげる
第3回・ライフサイクルとメンタルヘルス
エリクソンの発達課題(乳幼児期)
- 乳児期 信頼感 - 不信感。不安や不快を養育者が一つ一つ取り除いてやることにより、親や他人、世の中への信頼を身に着ける。希望を獲得。
- 幼児前期 自立性 - 恥・疑惑。しつけが始まる時期。トイレトレーニングなど、成功と失敗を行きつ戻りつ身に着けていくが、親があまりに厳しいしつけをして失敗時に怒ると、「自分には能力がないのでは」という疑惑の心を優位にさせてしまうことがある。意志力を獲得。
- 幼児後期 積極性 - 罪悪感。目に映るものに何でも興味が出て、積極的に行動してやればできるという感覚を身に着ける。同時にやっていいことと悪いことの判断がつく時期。養育者が子供の欲求や質問に拒否や禁止ばかりすると子供は罪悪感にさいなまれる。目的を獲得。
- 児童期 勤勉性 - 劣等感。小学校で仲間同士のかかわりを強めながら能力を高める。物事の仕組みを理解して、自分はやればできる、面白い、もっとやる、というサイクルをつかむ。できない・つまらない・やらないから余計できないという悪循環にはまると劣等感を持つことになるので、何か挑戦した時には、結果はどうあれ養育者はプロセスを褒める。自己効力感を獲得。
家庭での養育態度と性格形成
親の態度と子供の性格
他にも生まれつきの気質、父親と母親の接し方の違い、第1子かなど。
- 子供を支配 → 社会科、服従的で従順、大人の顔色をうかがう、自発性なし、消極的、受け身
- 子供に服従 → 不従順、無責任、不注意、乱暴なふるまいをする
- 子供を拒否 → 注意を引こうとする、落ち着きがない、反社会的、冷淡、神経質
- 子供を保護 → 感情安定、思慮的、好奇心がある、親切、神経質でない
- 保護×支配=かまいすぎ・過保護型 → 依存心が強くなる、思いやりが低い、自己主張しない
- 支配×拒否=残忍・残酷型 → 親から逃れるための逃避的傾向、神経質
- 拒否×服従=無視型 → 警戒心、攻撃心が強い
- 服従×保護=甘やかし方 → 自己中心的、反抗的、思いやりが低い、自己主張しない
子供時代のストレス
心理的ストレスモデル
ストレッサー → 認知的評価 → コーピング → ストレス反応
コーピング(対処法略)
- 構成的グループエンカウンター 小グループになりお互い本音で自分の思っていることを言い合うことにより互いの理解が深まる。
- ソーシャルスキルトレーニング 対人関係を上手に行うための技能。
子育てにおける家族とコミュニティ
多良間島の子育ての例:守姉の存在、多兄弟、コミュニティ全体で子供を見守る。
第4回・少年・少女・青年
思春期・青年期は第二の誕生(ルソー)、疾風怒濤の時代(ホール)とも表現され、子供から大人への移行期で身体的、社会的、精神的に変化が大きく不安定になる。身体的成熟の開始、自立が起こる。
起きる変化
- 身体的変化 第二次性徴。脳下垂体による性腺刺激ホルモンの刺激によるもの。性的成熟への戸惑い、性の需要の急激な減少、不安(特に女子)
- 社会的変化 子供としての扱いではなくなり大人や社会への見方が変わる、行動範囲が広がり自由度が増す
- 心理的変化 独立した存在としての自分、自己の内面に注目、孤独感や劣等感に悩む
- 発達課題 心と体のアンバランスな変化、心身の変化
真の自分、自分らしさ、自己確認、存在証明、主体性、自己定義
複数の自己像を一つのまとまりある全体に統合
社会的関係の中で対象化した様々な自己のとらえ方を身に着ける
エリクソンの発達課題(青年期以降)
- 思春期・青年期 アイデンティティ - アイデンティティ拡散。忠誠心を獲得。
- 成人期 親密性 - 孤立。愛を獲得。
- 壮年期 世代/生殖性 - 停滞性。世話を獲得。
- 老年期 統合性 - 絶望。英知を獲得。
アイデンティティステータスの分類
- アイデンティティ達成 危機(試行錯誤)を経験した、傾倒コミットメント(自分はここだと決めて自己没入)している
- モラトリアム 危機を経験中、傾倒コミットメントはあいまい
- 早期完了 危機を経験していない、傾倒コミットメントしている
- アイデンティティ拡散 傾倒コミットメントしてない
社会への適応
社会への適応 - 問題行動・職業選択
フリーター、ニートなどは、就職活動を避けると社会への損失もあるが、個人の問題としても自尊感情が下がる、自己否定につながるといった問題がある。
背景には関係性不安、低い自尊感情、将来設計・展望の不安など。ピアサポート(赤間同士の関係)などが有効。
第5回・大人の男性と女性
録画し忘れ
第6回・老年期と人生の締めくくり
衰退をある程度自分の支配下に置き、障害に直面しつつも尊厳を保ちながらそれを受け入れていくのが課題。
バトラーの回想法
- 共感的・支持的に傾聴する
- 自分の人生の意味を再確認
- 肯定的に需要 → 自我の統合
過去の人生を思い返すのは強く自然な内的欲求。自己の人生をとらえなおす、積極的かつ自然で普遍的な過程。
第7回・ストレスの理論
キャノンの「闘争か逃走か (fight or flight)」反応
瞳孔の拡大、消化管の運動停止、血圧上昇、…
人間の体が一定の状態を保とうとする機構を、ベルナールは動的平衡、キャノンはホメオスタシスと呼んでいる。
セリエの生理学的ストレス
ストレスの3兆候
- 副腎皮質の肥大
- 胸腺・リンパ節などの萎縮
- 十二指腸の出血と潰瘍
ストレスの名付け親のセリエは一般適応症候群(GAS、どんな刺激・ストレスに対しても起こる生体反応)と局所適応症候群(LAS、特定の刺激に対してのみ起こる生体反応)に分類。
汎適用症候群の生起プロセス
- 警告反応期(エネルギー↓)
- 抵抗期(エネルギー↑)
- 疲憊期(エネルギー↓)
ホームズとライの社会生活再適応評価尺度
生活上の出来事(配偶者の死など)に其々LCU得点をつけた。1年間のLCU合計が高いほど病気になりやすい。
ラザラスの心理的ストレス
ストレスが生まれるメカニズム
- 状況認知的評価
- 認知的評価 ←個人差(負担と思う人、思わない人)
- ストレッサーへの対処 (コーピング)
- ストレス反応
- 結果
ソーシャルサポートの分類
サポートによって認知的評価やコーピングを変えられ、結果も変えられる。
- 情緒的サポート (励まし、慰め)
- 道具的サポート (物理的、金銭的支援)
- 評価的サポート (肯定的評価、フィードバック)
- 情報的サポート (情報提供、アドバイス)
ただしこの4つが明確に分かれることはない。(通常1人の人間が複数のサポートを提供する)
第8回 職場とストレス
未視聴
第9回 ストレス・コーピングの実践
未視聴
第10回 精神疾患(1) -心の病とはどんなものか
診断基準
評価するのは統合失調症(精神分裂病)、気分障害(うつ・躁鬱・DSM)、パーソナリティ障害(人格障害)、PTSD(戦争神経症)、アルコール依存症、認知症(痴呆)。(括弧内は以前の名称)
入院外は統合失調症、気分障害、パーソナリティ障害が多いが、入院内は半数以上が統合失調症。
先天的要因と発症の関係
殆どの疾患は遺伝と環境の相互作用で発症する。
精神疾患の治療法
- 薬物療法 向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、気分安定薬)。対処療法、症状に対して薬が選ばれるので、症状をきっちり抑えることが必要。1952年のクロルプロマジンにより本格的に始まった。
- 精神療法 カウンセリング、来談者中心療法、認知行動療法
- 環境調整 家庭環境や職場環境の調整
- リハビリテーション 機能回復と自立への援助
薬物療法と精神療法は二者択一ではなく互いに補い合って効果を発揮する。
精神療法(心理療法)
- 洞察を促す 精神分析療法、力動的精神療法、交流分析、来談者中心療法(元気な人向け)
- 認知・功労の変容を目指す 認知療法、行動療法、認知行動療法、EMDR
- 身体に働きかける 自律訓練法、バイオフィードバック法、動作療法(リラクゼーション、緊張を解く)
- 非言語的な方法を用いる 箱庭療法、遊戯療法、芸術療法(特に言葉の未発達な子供の臨床で使う)
- 日本独特の手法 森田療法、内観療法
- 集団に働きかける 家族療法、集団精神療法
「べてるの家」当事者研究
- 三度の飯よりミーティング
- 自分でつけよう自分の病名
- 幻聴から幻聴さん(キャラクター)へ
- 場の力を信じる
当事者が主体性を取り戻すことに重点を置いている。
第11回 精神疾患(2) -脳の機能変調と精神疾患
機能変調とは心の働き=脳の活動の働きの不具合。統合失調症、うつ病・躁うつ病が代表的。
病気の理解の仕方
- 心の病気 「心を病んでいる」は時により負担に
- 脳の機能変調 「体の病気」に切り下げて限定する
統合失調症
幻覚や妄想などが症状として辛い。
- 発病危険率(一生にかかる確率)0.7-0.8%
- 青年期に発症し進行性の経過を取る
- 多彩で独特な症状 陽性症状(幻覚、幻聴・体感幻覚、妄想、被害妄想)、陰性症状(感覚鈍麻、意欲・自発性の低下)、病識欠如
- 現在は薬物療法が見出されている
- 適切に治療しないと重症化する
原因
治療
早期発見、早期治療が大事。
うつ病
現代ではストレス(異常・過剰なストレスへの正常反応)という理解をされているが、もともとのうつ病は原因が見当たらないのに勝手に気持ちが沈む症状のみを言っていたが、DSMは原因ではなく症状から診断するようになったため、現在は両者をひっくるめてうつ病としている。
女性のほうが2倍程度多い。
抑うつエピソード (DSM-5)
5つ以上がいつも存在するとうつ状態と判断。最初の2質問に当てはまるならすぐ受診が必要。
- 抑うつ気分(悲しみ、空虚、絶望、涙)
- 何に対しても興味や喜びが感じられない
- 体重減少 (or 増加)
- 不眠 (or 過眠)
- 焦燥 or 制止 (頭の中にブレーキがかかる、ことにより焦りがある)
- 疲労感、気力減退 (諸症状あるのでまず内科にかかる人も多い)
- 無価値感、罪悪感
- 思考力・集中力の減退
- 死についての反復志向
うつ病は発病危険率10-15%、中年期・青年期に初発し、遺伝傾向が比較的弱い。
躁病エピソード (DSM-5)
- 気分が異常に高揚し、開放的あるいは易怒的な状態が続く
- 以下のうち3つ以上
- 自尊心の肥大
- 睡眠欲求の減少
- 普段より食べん
- 観念奔逸(多くの考えがせめぎあう)
- 注意散漫
- 目標を持った活動の過剰
- 良くない結果につながる活動に熱中
躁病は発病危険率0.5-1%、10代後半から20代前半に初発し、遺伝傾向が比較的強く、投薬は気分安定薬が中心。 社会的信用を落とすような行動をとるためうつ病よりも危険なこともある。辛いことがあるときに「躁的防衛」として起きることも。
抑うつ障害(うつ病)の治療
笠原の治療者心得七原則
- 病気による不調であり怠けでないことを伝える
- 早めに休んだ方が治りが早いことを伝える
- あらましの治療期間を告げる
- 治療の間、自己破壊的な行動(自殺など)をしないことを約束してもらう(約束が守れない心配があるときの対処法も話す)
- 症状には一進一退があることを告げる
- 人生にかかわる重要な決断は治るまで延期するよう助言する
- 服薬の重要性や副作用を予め告げておく
治療サイクル
- 急性期 治療開始から6-12週後の治療に反応する時期、ここで正常気分になり再燃しなければ「寛解」。日にち薬の意識が重要。
- 継続期 4-9か月後、薬の量を調節しながら社会復帰を図る。ここで再燃しなければ「回復」。
- 維持期 1年あるいはそれ以上。
第12回 精神疾患(3) -不安とその周辺
不安
- 内心の違和感 おちつかない、そわそわする
- 身体的表現 自律神経系(動悸、発汗、悪心)、運動器(視線の同様、体動の増加)
焦燥感=居ても立っても居られない
不安は伝染する(身体表現を伴っているから、自律神経系の行動は伝染する)ので、不安な時は安心している人に自分を同調させるのが良い。
不安の役割
- 失敗や悪い結果に対する警告信号
- 失敗や悪い結果を回避する努力の原動力
精神疾患と不安
神経症は元はドイツ語由来のノイローゼ(神経症、幻覚や妄想を伴わない比較的軽症の精神疾患)の訳語。対後としてプシコーゼ(精神病、重度の)があった。ただしDSMがこの単語を使わないようになってきていて、現在はパニック障害、不安障害、強迫性障害、解離性障害などの病名になっている。
医師の対応のポイント
心理教育が特に重要。
パニック障害
予想できないパニック発作の反復。
動悸、発汗、震え、息苦しさ、窒息感、胸痛、吐き気・腹痛、眩暈・気の遠くなるよ漢字、寒気又は熱感、異常感覚のうち4つ以上が起きる。
薬物療法(パニック発作と予期不安を防ぐための抗不安薬や抗うつ薬)、心理教育、認知行動療法、環境調整で治療。
強迫性障害
気になる・気が済まない症候群。不潔恐怖による洗浄強迫、鍵の閉め忘れへの確認強迫など。
強迫的=自分でも不合理だと思いながらある観念や衝動を抑えることができず、強いて抑えようとするとかえって不安が強まる現象。(ある程度の強迫性は、清潔・安全や正確さを支え、望ましいことと考えられている。)
薬物療法(抗うつ薬)と行動療法(曝露反応妨害法、苦手な刺激にあえて触れて強迫行動を我慢する)で治る場合がある。
第13回 精神疾患(4) -ストレスとストレス反応
ストレッサー(外界からの刺激)が加わるとストレス(生体の反応)が生まれ、ストレッサーに反発して健康なバランスに戻す。
ほどほどのストレッサーがほどほどの頻度で加わるなら人間は心地よく反発しながら健康的に生きていくことができるが、ストレッサーの質や量が過剰(セリエの考え方)、ストレス認知や対処行動が不適切(ラザルスの考え方)な場合に破綻する。
ストレッサーの異常
ストレス障害
ストレス障害=トラウマ(自身や家族などの製紙・安否にかかわる事態を経験したことによる心の痛手)経験によって生じる心の変調
ASD(急性ストレス障害)
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
外傷的な出来事の反復想起(いつも頭から離れない、子供の場合は遊びや描画で再現される)、持続的な緊張・過覚醒、外傷的な出来事を連想させる刺激(ニュースや情報、社会生活全般)の回避など。
安全な環境と支援体制、支持的アプローチ、薬物療法、持続曝露療法で治療。
被災地のストレス例
時間の経過とともに様々な症状が現れる。
直後は意外に平静(急性期の防御反応)と原発への動揺、2か月ほど後にアルコール依存症、児童虐待、DVなど(既存問題の悪化)、半年後にうつ病(困難な現実への直面)、2年後PTSD(ストレス状況の蔓延)。
心身症
身体疾患の中で発症や経過に心理社会的因子が密接に関与する状態、ただし神経症やうつ病など精神障害に伴う身体症状は除外(日本心身医学会)。
胃潰瘍、高血圧、喘息、頭痛、じんましん、糖尿病、帯状発疹などが心身症的な経過をたどることが多い。
心身症の生理
大脳新皮質 (認知・思考・判断、ストレス認知)
→大脳辺縁系 (情動・本能)
→視床下部・脳下垂体 (自律神経系・内分泌系、ストレス反応の発現)
→内臓・諸器官
ただし認知段階で対処法略があればストレス解消になる、ストレスへの気づきが悪いと心身症を起こしやすいという仮説。
第14回 精神疾患(5) -アルコール依存と薬物乱用
アルコール依存
2000年の段階でアルコールは60以上の病気の原因で、世界の全死因の3.2%を占める。病気による社会的損失の4%はアルコールが原因で、高血圧、たばこに続いて3番目。
日本でアルコール依存症と診断された人は80万人、依存症疑いの大量飲酒者は440万人。
健康への害
身体的健康への害
精神的健康への害
- 急性障害 アルコール中毒
- 慢性障害 アルコール使用障害(依存症)
アルコールの効果
- 大脳新皮質(理性的判断)が抑制され、大脳辺縁系(情動・本能)の抑制が効かなくなる(脱抑制)。くつろぎや開放感を得られる半面、さまざまな逸脱行動も起きやすくなる。
- 飲むほどに脳の麻痺が進行する。ほろ酔い(大脳新皮質)→酩酊(大脳辺縁系、小脳)→泥酔(大脳全体)→昏睡(脳幹、脊髄)
アルコール依存症
- 強い飲酒欲求を抑えることができない 予定よりたくさん飲む、飲酒で社会的役割や人間関係を損なう、身体的な危険や社会的な禁止にも関わらず飲んでしまう
- 耐性が形成されている 大量に飲んでも酔わないのでさらに大量を求める
- 離脱症状がある 手指振戦、全身のけいれん発作、幻覚、振戦せん妄。離脱症状を抑えるためにまた飲む
アルコール依存症の治療
薬物乱用
海外では阿片が問題だが、日本では覚せい剤(アンフェタミン類)が多い。平成8年頃から「合法ドラッグ」などの名前で若年層へ広がる。
- 急性効果の交感神経刺激作用、中枢神経刺激作用(覚醒、集中力向上、多幸感、万能感)への快効果の心理的依存で使用されるが、慢性効果(約3か月)として統合失調症によく似た幻覚妄想状態が出る。
- 覚醒剤の中止によって症状は招待するが、将来ふたたび覚せい剤を使用すると、初回よりもはるかに少量短期で精神病症状が出現する(逆耐性)。
- 飲酒など他の物質の摂取や上道ストレスで精神病症状が再現する(フラッシュバック)。精神病症状を起こすような回路を開いてしまい、なかなか消えないと考えられている。
第15回 自殺とその予防
未視聴
…見てて気づいたんですが、これ「きょうの」メンタルヘルスではなくて「こんにちの」メンタルヘルスなんですね。見るまではもっと軽いものかと思ってました。